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<三角形の構成描写表現>“こんなにやり方がちがう”
先週ピカソクラスは前回の下のコピカと同じ三角形の段ボールオブジェをつくりましたが、年齢が違うとほぼ同じことをしているのに、違うカリキュラムに思えるくらい違ってきます。低学年までの子ども達は、線の分割はあっという間でしたが、3年生以上になるとその在り方も多様になり複雑になっていきます。例えば、上下左右に長い/の線を交差させて書く子、ひたすら短い定規で三角を描き続けていた子、まず大きな分割線をひいてから分割して書いていた子、同心円のように何重にも三角を書く子、四角と三角を組合わせてデザインしていた子、同じくらいの三角をたくさん書いた子、細長い三角で構成した子、密度のあるところとないところに分けるなどなど、これほどまでに子ども達の表現の仕方が違うことに驚愕に近い感銘を受けました。

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<子ども扱いをされていないからこそ見えるもの>子どもは一人の完成された人間
なによりこの課題を与えられて、ほぼ全員が直ぐにとりかかることが出来るこということもすごいとおもわれませんか?どうなんでしょう?普通、小学生にできることではないと思うんですよね。それを全員がさらっとやってしまうからいつも感心してしまいます。今回の活動のようにアトリエでは美大の課題のようなことをすることも少なくありません。飛行機やロボットをつくるとかクラフト的なものをつくるとかの具体的なものではなく、抽象的な要素が強いものほど、わくわくしてはやくやってみたいとか、インスタ映えするとかそういう華やかな活動ではありませんが、これはアトリエでしかやっていない特別な事というのは子ども達も直観するようです。殆どのクラスでいつもとは違う真剣さが見られました。すごく楽しいとかおもしろいとかそういう誰もが持つ感情ではなくて、アトリエに通っていないと出会えない何か本質的なことを自分たちはやっているんだという理解と、そのことによって生まれる質の高い感情がピカソクラスの子ども達に芽生えていることを、彼らの凛とした誇らし気な背中に思いました。彼らはアトリエが自分達を子ども扱いしていないことをよく知っています。こういう自覚はやはり客観的思考が育つ3年生以上になってから芽生えてくるように思います。ピカソクラスは定員に達していて入れないクラスもありますが、アトリエがどういうところであるのかは、ピカソクラスになってからこそ子ども達自身が感じ取ります。子ども扱いをしない大人たちと小学生の時に接してほしい、そして自分達がただ楽しいとかかわいいとかそういうことではなくて、もっと深い何かに接しているのだということを実感してほしい、子ども達の本当のアトリエが始まるのはピカソクラスになってから。今2年生の子ども達がピカソクラスでどんな感じになっていくのか、とても楽しみです。

2022年2月①アトリエ講師 星野由香