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<キューブダンシング>つながるかたち
定期的に皆さんにお見せしている赤の球や円柱を回転させる童具はキューブダンシングと言って、回転させることで全ての形がつながっていることを子ども達に見せる童具です。フレーベルの第1恩物にあたります。球・円柱・紡錘体・立方体は抽象形体と言ってこの世にあるものを抽象化した形です。形として目に映るすべてのものはこの四つの形体のどれかに似ているか、それぞれの形体のどこかの部分に似ているか、複合されたもののいずれかです。例えば、人間の頭部が球、胴体や腕は円柱、樹木の幹は円柱、葉は円柱の変形ととらえることができます。ビルや机は立方体とその構造は同じです。ですからこの四つの抽象形体がうまく描けるようになると、どんなものでも描写できるようになります。美大の学生さんが石膏でつくられた球や円錐をモチーフにしてデッサンの練習をするのはその為です。

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<キューブダンシング>つながるかたち②
この全く違う特徴をもった形体は、実はバラバラに存在しているわけではありません。それは、それぞれの形体を回転させることによって、そこに現れる形を見ることで形と形のつながりを見ることができます。球を回転させても形は変わりませんが、円柱を横にして回転させるとそこに球があらわれます。斜めにして回転させれば紡錘体が現れます。そして紡錘体の曲面中央を中心にしてまわすと円柱と球が現れます。また、立方体を面中央を中心にして回転させると円柱が現れ、頂点を中心にすると紡錘体が現れます。つまり、立方体から円柱と紡錘体が現れ、円柱と紡錘体からはそれぞれの形体と球があらわれてきたことになります。このように、すべての形は球に集約され統一され、すべての抽象形体がつながっています。
ということは、目に映るすべての形には関係性があるということです。この関係性を子ども達に直観させることもアトリエ活動の重要な目的です。
物としては同じ物でも(形体としては同じ形体でも)全く違う性質をもつものを対立的同一物と言いそれを関係づけるものを媒介物といいます。 【例】球と立方体は対立的同一物で 媒介物が円柱と紡錘体

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<8個の立方体>積木の基本 フレーベルの第3恩物
先週は四角柱をテーマにセメントで立方体をつくりました。フレーベルは子どもに単純な秩序をもつものから段々複雑なものを与えていくようにと説いています。アトリエ活動がもっとも単純な形の球から始まるのはその為です。四角柱で最も単純な秩序を持つのは同じ6面からなる立方体です。そして次に、この立方体を半分に分割するのが最も簡単な与え方にあるように思いますが、半分にすると2種類の面があらわれそれだけで複雑になります。ですが、天地・左右・前後に8分割すると全く同じ形の小立方体が生み出されます。半分よりも8分割の方が単純な分割であることがわかります。そして8分割することにより、立方体の中心を見ることができます。このような形は8個の立方体をおいて他にはありません。積木の発案者立方体の分割でうまれる形が理解できるように、8個の立方体と同じ分割線をマスキングテープでつくりました。8個の立方体を塊で見た時、一目見てこれは8個あるとわかるのは、積木遊びをよくしている子で4歳くらいから、通常は1年生くらいです。教えることはしませんが、子ども達はおそらくこの分割線と8個の立方体が同じであることを発見していることでしょう。

※セメントはアルカリ性が強くずっとさわっていると手があれますので、手洗いをしてください。
※夏アトリエの残席がわずかとなっておりますが、平日の参加もできますので、ご兄弟で参加されたい方はご相談下さい。

2021年7月① アトリエ講師 星野由香