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先週のピザは子ども達が大喜びしましたね。嬉しそうに、お母さんに見せに行く姿、お母さん達の「うわあ~」という歓声。アトリエはとても平和な空間です。見た目のかわいさとは反比例して、この作品が完成するまでの過程は結構大変で、始めに石こうモザイクの準備をして、粘土に絵の具を混ぜて生地をつくり、金歯ブラシでテクスチャーを出し、スポンジに絵の具をつけて焦げ目をつけ、具材を粘土でつくり、絵の具を塗って、石こう板に着色して、モザイク状に割って、キジにボンド絵の具ソースを塗り、具材を飾りつけをして、仕上げに上からソースをかけてやっと完成です。こうして書いてみると、子ども達は1回のアトリエでも色んなことを体験していますよね。毎回これだけの体験を、長年に渡り積み重ねていくわけですから、当たり前のことですが、こういう体験があまりない子と比べたら、思考回路は随分と違ってくるのだろうと思いました。

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アトリエを開校して20年、同じことは殆どせずに、講師たちも常に試行錯誤してカリキュラムを考えてきました。違うことをするけれども、20年間、形のテーマの流れはずっと同じです。子ども達はひとつのものにもたくさんの可能性があること、色んなものにも同じ共通する要素があることを直観していきます。思考を深めていく為には、多様と統一、統一と多様を繰り返していくことが必要です。ひとつの体験から、もしくは一つの情報から、すぐに一つの答えを出してしまうのではなく、広い視野で深い洞察のできる人に育って欲しいですよね。
今は、子どもも大人もすぐにスマホで調べられるので、すぐに答えに見えるものが用意されているから “一つの情報(たくさんの情報に見えるだけで)だけを見て、それを答えとする” 脳がその在り方になってしまっている人が増えてきているように思います。脳にその癖がついてしまっているなあと思う人っていますよね。情報をたくさん得ているようで、自分の理解できる範囲のことしか見ないから、結局は視野が広がっていないし、知識も深まっていないということもあるように思います。次々に画面を変えていきますから、脳も大切な情報として処理しないので、よけいに薄まったものになっていくのでしょうね。子ども達のスマホ使用の際には、特に気を付けてあげたいところです。

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先日の動画配信での和久先生の“大人からすれば取るに足らないようなことに見えても、子どもは必死で生きている、真剣に生きている”という言葉。子ども達の真剣な表情が思い浮かび、胸があつくなりました。子ども達は生きる為に必死になって自分で世界を獲得しようとしています。自分で答えを見つけようとしています。YouTubeを視聴することや、スマホやiPadを持つことに、大反対しているというわけではありませんが、子ども達の生きる力を育もうとしている時間が、スマホに奪われてしまうのは、もったいないですよね。あと、年齢を考えて与えるのは親の責任です。幼い子ども達にはスマホ視聴を制御することはできません。その能力が育つのはずっと後です。保育園などの講演をした時に、よく「ずっとゲームばかりして、約束したのに時間をまもらないのですが、どうしたらいいですか?」と聞かれるのですが、それは与えた親の責任で、ゲーム漬けにしてしまった責任は親がとるしかありません。子どもを怒っても仕方のない事です。この年齢のこの場合は、親が管理するべきです。
また、思春期の子ども達の脳も、自分で制御することは難しいのだそうです。与える前に話し合っておくことが必要ですね。

子ども時代は二度と帰ってきません。そのかけがえのない子ども時代の思い出が、受験の為に嫌々している勉強と、そのご褒美のYouTube視聴やゲームになっている子も世間では少なくありません。そしてそれは、1年生からはじめたら13年間続くのです。
子どもは必死で生きています。これからの人生を生きていく為の大切な時間を真剣にすごしています。子どもの人生は子どものもの。動画配信の冊子にも書いてありましたが、親の「こうさせよう」の発信機のスイッチをオフにして、子どもが「どうしたいのか」 の受信機を働かせましょう。きっと、今まで見えなかった我が子の思いもよらぬ姿が発見できるはずです。

一度しかない子ども達の子ども時代の人生を、思いっきり生きさせてあげたいですね。何者かにつくりあげようとするのではなくて、そのままの自分を母なる大地で受けいれてもらって
育つから、人も愛することが出来ます。ですからあせることなく、迷う事なく、子ども達を信じて、応援してゆきましょうね。

※田んぼに水が入りました。田んぼの方にはいかないようにお願い致します。
※駐車場は大変危険です。お子様から目を離さないようにお願い致します。
※幼児クラスから小学クラスの入れ替えの際、駐車場が大変込み合います。気になる方は第2駐車場をご利用下さい。
※緊急事態宣言の間、土曜日の14時まで、ムサシさんに第2駐車場をお貸していますが、4台くらいはとめられるスペースは開けていますので、そちらもご利用ください。


2021年5月③アトリエ講師 星野由香