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先週のアトリエは、一人一棟、積木の円筒をつくりました。円柱がテーマの5月は、いつもなら皆で、和久ブロックの十八番、全員入れる大きな円筒や2~3人のグループでロケットや宇宙船をつくることが多いのですが、今年は一人でつくってみました。一人だと話し合うこともないので、いつもに増して皆職人のような真剣さ、集中力、持続力。また、積木が久しぶりだったこともあり皆、なかなか積木を積む手がとまりません。

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本当は土台から自由につくらせてあげたいのですが、時間と空間が限られているので、土台の積木は皆同じの3倍体角柱を12本で設定。お家でつくる時も、積木のいろはの量と種類ならこのくらいがつくりやすいです。はじめは準備運動で立方体を5段ほど積んでから、一段一段、積木と積み方を自由に選んで、つくりあげました。土台が12個だけなのと、円筒というテーマもあるので、さすがに今回は同じような仕上がりになるだろうと思いましたし、その狙いもあったのですが、子どもをあなどることなかれ。やっぱりこうなるなあと若干予想しつつも、やはり皆、違う(笑)。


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この頃、人間って本当に一人ひとりが違うのだなあということを、あらためて実感させられることがよくあります。今回の積木にしても、規則正しく同じ積木を積んでいきたい子は、何をどう言っても同じ積木しか積みません(笑)。同じ積木がなくなるまで、やっています。そういう子は何人かいるのですが、その中でも、同じ積木を積むことが安心につながっているんだなと感じる子や、この積み木の造形を極めたいんだなと思う子がいたり、同じことをやっていても、皆違います。また、自分の規則性をつくってその通りにデザインしていく子、一段一段、試行錯誤して積木も積み方も変えていく子、そもそも立方体から積まない子、円筒の上部に長直方体を敷き詰めてフラットにして、四角柱の建造物に変えてしまった子(これは難しい)、も結構いましたね。円柱って言ってるだろーっ!(笑)と思いながらも、円筒という一つのテーマで、これだけのバリエーションがつくれることに、私も驚かされました。


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お母さんに見せている時の子ども達の誇らしげな表情、とても素敵でした。円筒積み木は上の写真のように、中もとてもきれいです。スマホを差し込んで撮った写真を子ども達に見せてあげると「これ、すげえ!!」と歓声をあげていました。外側から見た世界と内側の世界の違い、自分の手でつくりあげた思いもよらぬ造形美。次回つくった時には、中から見た模様を考えてつくるかもしれないし、光で模様をつくることを計算してつくるかもしれません。発見したことを表現して、表現したことから発見してその繰り返しで、生きる為に最も必要な力である創造力は開発されます。その試行錯誤を、この感動が消えないうちにさせてあげたいので、お家に是非、積木のいろはを揃えてあげて下さい。
こうして試行錯誤を繰り返して、子ども達は世界を広げていく、世界を自分のものにしていくのだと思いました。
人間は発見すること、表現することに喜びを感じる生命です。人から教えられて発見しても喜びにはなりません。
幼児期は土台をつくる時、先へ先へと急がせないで、今この瞬間の輝きを大切に、子ども達の発見欲求と表現欲求を思う存分発揮できる環境を用意して、応援してあげたいですね。

2021年5月②アトリエ講師 星野由香