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先週のアトリエは、円をテーマに石こうレリーフをつくりました。淡い色合いのあじさいのようなきれいな作品に仕上がりましたね。硬化する間につくった風船人形も、とても楽しんでつくっていました。
石こうレリーフはで、仕上がるまでの過程が結構大変で、初めに①円に切った厚紙にボンドを塗って輪ゴムを貼り付け、②粘土を綿棒で平にのばしてから、①をプレスして凹をつくり、そこに③ビーズの凹をつけて型にしました。枠をつけてから、④石こうを溶いて流し込んで、レリーフの完成、それから⑤薄く水で溶いたリキテックスで着色しました。

粘土をはがした瞬間、「うわあ~」と子ども達の歓声が聞こえます。この作品は繊細な凹凸がつくる光と影が美しいので、その美しさを色で邪魔してしまわないように、あえて絵の具を薄くしていたのですが、「色塗るよー」と言った瞬間、「えっこれに色塗るの!!これはこのままがいいと思うけど」と言った子がいました。彼の作品はビーズでたくさんの凹凸を丁寧につけてあり、確かに、これは色を入れたくないだろうなあという気持ちがとてもよくわかりました。やってみないとわからないということもあるんですが、彼の色を塗らないという色の感性の鋭さ。子ども達のこういう言葉、聞き逃してはいけないなあと思いました。そういう思いで、子ども達の作品を丁寧にひとつひとつ見ていくと、一瞬、同じように見える作品も、それぞれに意図が感じられて、はっと気づくこともあります。「あっ、だからあの時、あんなことしていたんだ。」とか「なるほど、それでそう言っていたんだな。」とか。子どもの観察はとてもおもしろいです。子ども達に教えられて、次はこうしてみよう、ああしてみたらどうか、と考える毎日はとても楽しく、子ども達から人生を与えられていることに感謝する毎日です。

ピカソクラスでも、すごい!!と思うことがありました。先週のピカソクラスは童具ケルンボールを8球でつくったのですが、色を塗る時に松井先生に色の循環色の話しをしてもらい、それを意識して、着色してもらいました。“3原色は他の色を混ぜてもつくれない”という話しをとても興味深く聞いていたので、土曜日のクラスで「赤の反対の色はなんだと思う?」って聞いたら(反対という表現が適切かどうかはわかりませんが)、ほぼ当てずっぽうで「緑」って、誰かが答えた時、5年生のS君が「そういうことか!なるほど」と言って「じゃあ、青の反対はオレンジで黄色の反対は紫やな」って言ったんです。私は「えっえっ!何がなるほどなん?なにがわかったん?なんでわかるん?」って聞くと彼は
“赤の反対(補色)は緑、これは3原色の赤以外の青と黄色を混ぜた色”という情報から、青の反対は、赤と黄色を混ぜたオレンジ、黄色の反対は、赤と青を混ぜた紫、という法則を瞬時に導きだしたんです。すごくないですか?これ数学でもありますよね。こういうことって美大でも教えていないらしく、感動してしまいました。彼は、4年生の3月に入会してくれたんですが、よくぞアトリエに来てくれた!と思いました。こういうことに気づける子にとって、アトリエはより特別な場所になっていくだろうと思います。その時、感心したのは、そのクラスの他の子もその子の言っていることをすぐに理解して、「ほんまや、すげえ!」と言っていたところ。こういうことを「すげえ」って思える君たちも「すげえよ」と思いました(笑)。

アトリエでは学校や周囲のお友達とはまた違った、価値観や感性をもった子ども達に出会え
る場でもあります。子どもの数が少なくなった今、そういう意味でも子ども達の居場所としてもアトリエの大切さも感じました。

2021年4月③アトリエ講師 星野由香