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先週のかぼちゃの立体レリーフ、色もいいですが子ども達が粘土でつくった形が素敵でしたね。始めに、虫たちのうんどうかいを読んでから、玉入れで盛り上がってからのアトリエ流ストラッグアウト。チームに分かれて、ボールがあたった点数をかずの木でトレイに入れました。5点・10点・20点・50点・100点と、5と10のかずの木があれば点数を入れられるように、例えば20点だと10が2本、50点だと10が5本、10がなくなれば5を10本というようにいれていきました。数字がわかっていても具体物になるとまた違った理解がいります。かずのきがお家にある方は、是非、5と10の点数ゲームをやってみてください。

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その後、一人3つの粘土の塊を渡して、それぞれを4等分してもらいました。その説明をしている時に、藤本先生が「コレ、半分に切ったら何個になる?」と聞いて「みんなが2個」と答え、「じゃあ、それをまた半分にしたら何個?」って聞いて「4個」と答えている時に、年長さんののりくんが「12個かあ」とつぶやいたんです。3つの塊をそれぞれ4等分した数ですから12になるんですけれど、割り算と掛け算を同時にしていることになりますよね。考えたり計算したりしている様子はなく、普通に言っていました。長年、アトリエの先生をしていた有末先生のお子さんなので、生まれた時から積木やかずのきであそんできた原体験によるものだと思いますが、それにしてもすごくないですか。のりくんは私がびっくりしていることにびっくりしていました(笑)。

もちろん、お勉強系の習いごとはしていませんし、おうちで算数を教えているということもありません。逆に習っていると式にしないとわからないかもしれません。甥っ子もそうでしたが、式はしらないけれど、量のことはよく理解していました。ですから簡単な足し算も正しく数字を書くことすらも出来ないまま小学校にいきましたが、基尺のしっかりした積木で十分遊んできているので、未測量から既測量の転換が無理なくできたのだと思います。それとやはり絵本による言葉の力が大きかったのではないかと思います。嫌がる子どもに無理に勉強させなくても、子どもの育ちの責任を持った質の高い積木や絵本は生きる力の土台をちゃんとつくってくれています。

松居直さんが随分昔に描いた文章に「私達はこの子ども達の親なのです」という言葉がありました。なぜかその言葉が優しくも厳しく私の心に刺さり、ことあるごとに心に浮かびます。その文章は、「私は、子ども時代にたくさんの素晴らしい絵本や児童書よんであげてきた。親として大切なことは語ってきた。だから後は好きなように生きればいい。」というような言葉で締めくくられます。好きなように生きればいい、親はもっと本来子ども達が持っている力を信頼してもいいのになあと思うことがあります。まだおこってもいないことを、こうなるかもしれないからと心配して先回りするよりも、環境を整えたら、後は子どもの力を信じて待つ。その親の覚悟や信頼、特にお母さんの気持ちは伝わっていくのではないかと思います。人生の最終ゴールを大学入試にしていまっている子育てになっていないか、時々ふりかえることも大切ですね。心配もしすぎると子どもにうつってしまうので、コロナのこともあり色々不安なことはありますが、あせらず迷わず、子どもの力を信じて共に見守っていきましょうね。


2020年10月②アトリエ講師 星野由香