先週は、円をテーマに石こうレリーフをつくりました。石こうを水で溶いて板の上に流してからスプーンで平らに整え、熊手で模様を付け、固まってから着色し、凸部分をヤスリで削って立体感を出して完成させました。(結構、手間がかかっています。)アトリエならではのアーティスティックな作品になりましたね。石こうの扱いも年々上手になっている気がします(笑)。

石こうが硬化する間につくったくむくむのメリーゴーランドも子ども達のアイディアに感心。ものすごく楽しそうでしたね。土台にタイヤをつけて動くようにする発想には脱帽しました。絵本の部屋にクムンダをつかった観覧車を飾ってあるので、「クムンダも使いたい」という子達がたくさんいましたが、確かにクムンダを加えたら更にすごい世界が表現できただろうと思います。

童具は全ての着尺があうようにつくられているので、みんな一緒に遊ぶことができます。積木は着尺が命です。それが曖昧だと積木ではなく、ただ木を四角く切ったもの、になってしまいます。積木はつくろうと思えばどんな着尺でもつくることは出来ると思いますが、童具に至っては、積木(立体・四角柱)だけで存在するわけではなく、点・線・面・曲線・円・円柱・正三角形・直角二等辺三角形・・・それぞれの形の童具があり、その全てにつながりと関係性があります。それがあることは子どもにひとつの世界をしめす時に非常に重要です。積木を考案した幼児教育の母フレーベルもつながりと関係性の重要性を説いています。ですから、童具館の積木は、たとえお客さんからの要望があったにしても安易に関係性のない着尺で積木はつくれないのです。基本着尺を45ミリにしていることにも意味があります。

余談ですが、今、文藝春秋のレナルド・ダ・ヴィンチを読んでいるのですが、そこにも同じようなことが書かれていました。“「自然界のありとあらゆる現象には規則性があり、一つの調和した世界を織りなしている。芸術と科学を結びつけたからこそ、彼は史上最も独創的な天才となったのだ”とありました。どの分野の人でも歴史に名を遺す一流は(ダヴィンチは一流と言うよりも神ですが)皆同じこと言いますね。真理への探究のひとつが関係性の原理にあることを思います。

そこまで追及してつくっているからこそ見えてくる世界があります。ただセンチをあわせて切って加工した木ではないのです。積木から見えてくる宇宙があります。知れば知るほど本物が見えてきます。ひとつの世界を知ることができると、他の世界も見えてきます。子ども達が幼い時から童具に触れて育つということは、そういうことなのです。私は、本物と呼べる一流の仕事を見て育つだけでも違ってくると思っています。

子どもたるものをなめてはいないからこその童具館の積木を、本物がわかる方にこそ、子ども達の手に届けてあげて欲しいと願います。

2019年11月③アトリエ講師 星野由香