先週は久しぶりのアトリエを楽しんでいる子ども達の姿に目がしらが熱くなる1週間でした。学校や園が始まり調子をくずしている子ども達が、アトリエに来たら生き生きした表情になって安心した、という言葉もたくさん頂き、子ども達にとってのアトリエがそういう場所であることをあらためて実感し、またそういう場であり続ける必要性も強く感じました。

アトリエには毎月形のテーマがありますが、4月は球の活動・5月は円柱の活動・6月は立方体がテーマになります。球と円柱はおうちアトリエでしましたが、それではやはり足りないので、今回の傘袋ロケット(円柱)のように、6月の活動の中に組み合わせていく予定です。

先週は、絵本「てとてとてとて」を読んでから、一人ひと箱立方体の積木を用意して、だれが一番高く積めるか?で遊びました。意外にもアトリエでははじめての試み。いつもダイナミックなものをつくるので、逆にこういうシンプルな遊びをやっていないことに気づかされました。ただただ積むだけの遊びがこんなに盛り上がるとは、目からうろこでした。いくつになっても盛り上がれる遊びですよね。しかも誰でもできる。ルールが単純だからこそ、子ども達の気づきがあります。横にも積んで支えてみたり、小口面を上にしたり、ピッタリときれいに積んでみたり、色々考えていましたよ。立方体ひとつからでも宇宙にいけるなあと子ども達の姿に思いました。

作品は、石こうでつくる“夏に向けて 冷たいクッション”。ジップロックに石こうと水を入れてもみ込み、そこに2色絵の具をいれて、マーブリング状になるように混ぜてから、ボールを下において硬化させました。粉から液体となり、化学反応で(水和という現象)発熱し、石のように硬くなります。石こうが固まる時に熱くなる現象を知っている幼児は、アトリエの子ども達だけかもしれません。今回は密封しているので熱が逃げませんからいつもより熱くなっていましたね。ほっぺにくっつける姿がとてもかわいい子ども達でした。

傘袋ロケットは石こうの硬化を待つ間に、折り紙シールやドットシールを貼ってつくりました。傘袋でもアートにしてしまう子ども達に感心しましたが、実は傘袋ロケットは、装飾をぜずに先端につけた錘の役割をする輪っかや羽を、形や向きや貼る位置を変えて、飛び方の変化を楽しむとよりいっそう遊びが広がります。
ですから、風の影響を受けない室内のほうがおもしろいのですが、今回は、子ども達の心を開放してあげたい気持ちもあり外で行いました。
飛ばせても飛ばなくても外だとそれだけで楽しいですからね。

もう高校生になっているお子さんですが、アトリエでつくった傘袋ロケットにはまり、1か月以上かけて研究して、ついにロケットが飛ぶ構造まで行き着いた子がいました。その時の年齢は年長さん。私がひとつの遊びがここまで子どもの好奇心の芽を育てるのだなあと実感した出来事のひとつでした。子どもの興味を広げ深めていく環境をつくってあげるのは、大人の役割です。今日、傘袋をお渡ししますので、是非、画用紙で羽をつくって、お家で遊んでください。(傘袋はモダンパックで100枚単位くらいで売っています(笑)。でもハマるとそのくらいつかうかもしれないですね。)

アトリエの卒業生は理系に進む子が多いのが不思議だったのですが、アトリエの活動は実験や化学をうたっている習い事よりも科学的数学的なことをやっていますね。おそらくレベルも高いですが、アトリエのいいところは、それがどんなに高度なことであっても、こどもにとっては“遊び”であるということです。そしてアトリエのコンセプトは“遊びながら学ぶ”ではなくて“遊びは学び”です。学びを目的にしている手段としての遊びは、子ども達もすぐ気が付いてしまします。そうなるともう楽しくないですよね。和久共育(フレーベル)が、子どもの遊びを重要なこととして考えているのは、遊ぶことが子どもの素直な自然の姿だからです。そして、生きる為に必要なことであるからこそ、子どもは遊ぶのです。サルやゴリラも幼い頃によく遊んだ個体とそうでない個体では脳の成長が違うそうです。遊びの重要性を思うからこそ、遊び環境を整えることの大切さを思います。そして、子ども達には本物を使いこなすだけの力があるということを知っているから、いい加減な活動を用意することはできません。前記しましたが、遊びを豊かなものとする環境を整えるのは大人の仕事です。これからを生き抜いていく為の血となり肉となる底力の育ちを、これからも共に見守ってまいりましょう。

・5%還元が6月末日までとなっております。絵本・積木のご購入を考えていらっしゃる方はお早目にお申込みくださいね。


2020年6月②アトリエ講師 星野由香