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先週のコピカでは、まだクラス替えに慣れていない子ども達もいるので、ボールのコース遊びで、リラックスしてから、オリジナルの“たまっこ”をつくりました。
(*たまっこ 和久先生の童具)。クラスや個人により、違う作り方をしている場合もありますが、基本、パレットに黒と白、好きな色2色を選び、グラデーションで着色しました。はじめが白。そして白に少しずつ色をませて塗っていく。それから、もう1色を少しずつ混ぜる。それから、黒を少しずつ混ぜる・・・とうい感じで、とても幼児には出来そうもないグラデーションが完成していました。藤本先生、さすがです。子ども達も少しずつ色が変わってゆくのが楽しいようで、丁寧に色を混ぜて自分の色を創っていました。着色は、手の平でお団子をつくるようにして塗っています。美しい仕上がりに「先生、見てー!」と見せにくる子がたくさんいました(笑)。



先週は東大入学式の祝辞が話題となりましたね。私が感銘を受けた箇所は
“がんばったら報われると思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください”
という言葉です。客観的にも主観でも明らかにがんばってきて東大入学を勝ち取った学生たちに、この言葉は信念がないとなかなか言えないと思いました。ただ、これは東大生に限らず、恵まれた環境であることを自覚する人すべてが、忘れないでいたい言葉であると思いました。そこから続く、
“あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境とめぐまれた能力とを恵まれないひとびとを貶めるためにでなく、そういう人を助けるために使ってください。”
物事を成す上で、誰もが根底に持つべき心持であることを思いました。
子どもは(人間は)本来、調和をとろうとする生命です。弱き人を思いやる心を持って生れてきているのかもしれません。和久共育の骨子であるフレードリッヒ・フレーベルは、“人間は本来、善である”性善説の立場から思想をくみたてています。しかし、その心の育ちは、子ども達が接する人や、環境によって左右されます。環境の大切さを思います。

私がこの言葉以上に感銘を受けたのは
“どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になったとしても生きていける知を身につけてもらいたい”教育者が目指すべき態度のひとつであると思います。
“大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことがない知を生み出すための知を身につけることだとわたしは確信しています。知を生み出す知をメタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です”
私にとってこの言葉は、「人はなぜ学ぶのか」の答えのひとつであり、生涯、学び続けることの価値を思いました。東大生のみならず、学び続けている多くの人々の励ましとなる言葉であったことを思います。
ノーベル平和賞受賞者のマララさんのお父さんは、「どうやって娘を育てたか?」と訊かれて「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えたそうです。私たちも、子ども達が本来、持っている「善きもの」「学ぶ意欲」の翼を折らないように、子どもの本質に従い、共に見守っていきましょう。

2019年4月③アトリエ講師 星野由香