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今年1回目のアトリエは直角二等辺三角形をテーマに、立方体を45度に分割構成をして作品をつくりました。最初に、下写真にもある三角形の積み木ケルンブロックC2で自由に遊んでから、ケルンブロックと同じ1・1/2・1/4と分割した三角の和紙を、3種類の濃さの墨汁と2色の彩液で染めて立方体に貼り付けました。大きさの違う三角を“形体の秩序に沿って”配置してゆくのは難しいのですが、はじめに同じ分割の積み木で遊んでいるうちに、要領を得たようで、思っていた以上に理解していた子が多かったです(例えば1/2の三角なら二つで□ですが、1/4なら4つで□、1は隣の面に広がる)。発泡スチロールの立方体は手に絵の具をつけて塗りました。1回のアトリエで、子ども達は色んなことを体験し、アウトプットできる身につく知識を得ています。

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今週は全員の顔を見たかったので、久しぶりに全ての曜日に参加しました。日曜日の親子クラスは、1年ぶりに時間いっぱいは入れたのですが、子ども達が成長していてびっくり。2歳から3歳の1年は大きいですね。その中で、私にとっては、1歳の時の印象が強い自由人のF君。3歳になったばかりで、前回ちらっと見た時は、とても落ち着いた印象でしたが、今回会ってみると、自由人ぶりは健在(私にとってはそれがとても嬉しい)。
なのだけれどやっぱり1歳の時の自由さとは違うんですよね。1歳の時は本当の自由。でも今は、不自由さを感じつつ、ものすごくわかってやっていました。アトリエ中に戸棚を開ける時も、本当は“今、あけちゃいけない”とわかってやっている。そこからビーズのはいったケースをとろうとした時も、“本当はダメ”ってわかっている。
片手でとろうとしたので「両手でとらないと、おとすよー」って言ったら、ちゃんと落とさずとれて得意顔。でも油断してその後ガシャーンと落としてしまい散らばってしまったビーズ。「片付けといてねー」って言って、側で見ていたら、知らん顔でそのビーズで遊びだしたF君。でも、心の中がまるで見えるみたいに、“この状況をどうしようか”と考えているのがわかりました。

こうゆう時の子どもは、自分でも“やっちゃった”って思っているんですよね。でも、かと言って大人の思い通りになりたくない。片付けないといけないのはわかっているけれど、言われた通りにするのは嫌、“ほらみたことか”なんて思われたくない。なんだったら、わざと落としたんだよ、くらいに何事もなかったようにふるまう子どももいます(笑)。

F君はこの状態をどう収拾するのか、そして私はどうしたらいいかな、と考えながら見ていたら、はじめはビーズを積んだり並べてりして遊んでいたFくんは、そのうちケースをお鍋に見立てておままごと。「お豆さん入りまーす。次は人参でーす。」とか言いながら、結局、全部のビーズを入れて、片付けたのと同じ状態になりました。すごくないですか?大人の思い通りにならずに、自分の正当性もしめす見事な解決方法に、私も感心してしまいました。私自身がどう対応しようかなあと考えていたから よけいに“すごい!!”と思いました。

子ども達が悪いことをするときは、悪いことであるという自覚をもってやっていることが多いですよね。かまってもらいたくてやっていることも多いです。子ども達を見ていると、殆どがそうでないかと思います。それと、大人への反抗。それは自立へのステップ。なので“これもしつけだから”“悪いことは悪いと教えなくては“とあまり頭ごなしに押さえつけてしまうと、自立への契機を奪ってしまうどころか、それがたまりにたまったら本当の悪につながりかねないと思ったりもすることもあります。子どもがわかっていて悪いことをした時の大人の対処は、その子の人生にとって大きな意味をもつことがあるかもしれません。
創造性の高い子は自立的な子が多く、反抗の程度も他と異なる、のだそうです。(河合隼雄著 子どもと悪 より)。親は大変ですが(笑)、そんな彼らが、そのまま創造性を発揮して生きていってくれたらと思います。

今年も、子ども達の創造力が全開するアトリエでありたいと思います。このところ、2020年の大学入試改革に伴う教育改革の話しがよくでていて、それに対応した塾なども出来てきているそうですが、アトリエはもともと知識活用型の教育。そして、そういう教育は、付け焼刃で出来るような表層的なものではありません。やる方も、学びと覚悟が必要です。
これまでどおり、本来、子ども達が持っている潜在的な力を信じて、今年も子ども達の心に沿い、共に見守ってゆきましょうね。

2019年1月①アトリエ講師 星野由香