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12月1回目の親子・幼小コピカでは、円柱をテーマに光のオブジェをつくりました。1歳~3歳の親子コピカでは、つるつるして塗りやすかったのか、皆、絵の具に集中。1歳になったばかりの子も絵筆を夢中で走らせていました。

その前に幼小コピカでは、二人一組で段ボール電車に乗って鬼ごっこ。藤本先生が鬼になって追いかけるのですが、それが見ていてめっちゃおもしろい。子ども達も「キャーキャー」と歓声をあげて逃げまどい大笑いで倒れ込んでいました(笑)。見ていると藤本先生が、子ども達の動きを予測しながら、とまったり向きを変えたりして、子ども達の導線を確保しつつ追いかけているのがよくわかりました。子どもが危なくない程度に楽しくこけられるように計算して動いているんですよね。動画で見ているとそれがよくわかりました。その運動神経と勘の良さ、また、それぞれの子どもの性格や特徴をよくわかっていないとできないなあと感心してしまいました。子ども達、全員の心が喜びに満ちている時の熱気のような独特の空気。その空気を感じることができるかどうか、そして自らもその一員になれるかどうか、それは子どもと接することを仕事に選んだ人のもっとも大切な資質の一つであると思います。先生と子ども達がひとつになった時のアトリエは最強ですね。

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今週は、クリスマス限定モザイクの最後の注文を承っております。迷っている方は、星野までご相談くださいね。今年は六角形の世界と円・線がセットされています。購入されてお家で遊んでいる方のお写真をインスタグラムにあげているので、是非、ご覧になってください。最初に紹介しているRくんは、積み木も揃っていて童具専用の棚をパパがつくってくれました。図形的なセンスがあり、誰もおしえなくても正確な点対称や360度回転図形をなんなく遊びの中でつくっていました。動画は、玉ころがしのコースをつくっています。コースづくりは、先を予測してつくらないといけませんから、思っているよりもやってみると難しく、かなり頭をつかいます。アトリエのお母さんから教えてもらったのですが、将棋と同じ脳を使うみたいですね。他にもお父さんの誕生日ボードをつくったり、11月にお配りした絵本を見てつくったり、お友達のゲームにでてくるキャラクターをつくったり、盛沢山で遊んでくれて、お母さんも「買ってよかった」と大満足してくださいました。次にご紹介しているМ家は、3人兄姉妹が同時に使えるように、ボードをLサイズのイーゼル付きにして玄関スペースにおいています。昔の人の暮らしをつくっているんですが、発想がおもしろいんです(笑)、是非、見てください。

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マグネットモザイクは積み木よりも、取り掛かりやすい遊びができるので、手持無沙汰な時、ほっとしたい時に、なんとなく遊べるのもいいのかなあと思います。後、年齢を選びません。中学生も楽しんでくれています。また、絵を描くのが好きな子は、違う表現の仕方で絵が描けます。玉ころがし系はどの子も好きなので、お母さんも一緒にコースをつくって遊んでも楽しいです。結構、ハマりますよ。

私が何よりすごいと思うのは、60度・120度の世界が正確に網羅されていることです。ここまで正六角形の秩序を追究してつくっているおもちゃは、ヨーロッパからの輸入品を含めても日本では1社、童具館だけです。小学校の図形から六角形はでてくるのに、それまでさわることもなく、いきなり紙面で図形の理解を求めるのは本当は無理がありますよね。正六角形は、ハチの巣のハニカム構造や、遺伝子、雪の結晶、亀の甲羅など自然界にも多く、そこには何かの意味があるのだろうと思います。その何かを追究してゆくのが科学する心であり、きっとその心は、幼い頃にその核ができ、やがて種となって芽がでる日がくる。その核を作る為に、幼い頃から正確な形をさわって育つことにも何らかの意味があるのではないかとこの頃、考えます。童具館の積み木をはじめとする童具は、何もそこまでやらなくてもいいんじゃないかというくらい追究されています。作品ならいいんだけれど、商品として考えた時、あまりにもコストも労力もかかりすぎているので、私は和久先生に「そこまでやらなくてもいいんじゃないですか?」と言ったことがあります。少しくらいのことなら、お客さんは安く買えるほうがいいと思ったのと、その違いはよほどの人でない限りわからないからです。本当に見ただけでは全くわからないことや、どうしてこの積み木の数はこの数でないといけなくて、この形でなければならないのか、どうしてこの角度が必要なのかなど、学べば学ぶほど、童具の世界は次から次に学ぶべきことがでてきます。私も今だに“そういうことだったのか”と気づくことがあります。だからコストを下げる為に少しくらい何かを省いたとしても十分に製品になるし、そうしたとしても世界一の積み木としての哲学も品質も保たれます。
でも、和久先生の答えは「少しくらいならいいかって思って少し省くとするでしょ、そしたらその次にまた少しくらいいいかってなってしまう。そうしているうちに全く違うものになってしまうんだよ」。その言葉を聞いて、私もはっとしました。ひとつのことを追究し続けて、見えた世界を、見えているのに帳尻のいいところで妥協してしまったら、本物がこの世に残らなくなります。もちろん、企業である以上、働いている人もいるのだから、存続してゆく為に経営を考えることは必要です。でも、“これじゃあ商売にならないんだから、少しくらいいいじゃないか”という姿勢になってしまうと、本物を作る人がいなくなります。こういう企業や人がいなくては、哲学も技術も次世代へとつなげることはできないのだということを思いました。

今年も、大きな事故もなく、皆、元気にすごせたことに感謝して、新年を迎えたいと思います。良いお年をお過ごし下さい。

2018年12月③アトリエ講師 星野由香