今、少しのんびりさせて頂いているので、いつかは読み返してみたいと思っていた“こどものとも”を1から50まで熟読しました。1950年代の絵本です。この時代の作家達、編集者、出版社、印刷会社、絵本にたずさわる全ての人々の思いに胸をうたれました。裏面に解説があるのですが、それを読むと、仕事に対するていねいさ、真剣さ、熱意が伝わってきます。その言葉の深さは、絵本という文化がこの国に定着しようとした時代、小さい人たちの為の文学が生まれようとしていた時代にあったことを思わされます。

たくましい空想力、それはとりもなおさず“生きようとする力、生きようとする願い”と書いてある文がありました。想像力=生命力。想像力はまさに生きる力。その力を育む絵本だからこそ、“絵本が一生を左右する”と言えるのでしょう。子どもが最初に出会う本として、当時の大人達がその覚悟と責任をもって絵本づくりをしていたことがわかります。子どもに媚びたり、子どもを甘やかしたりする絵本のつくり方はしていません。文中にもあるんですが、それは子どもを一個の人格として尊重しているからです。和久洋三の童具・積み木もアトリエの活動も同じことが言えます。

たくさん、いい解説があったのですが、私がとりわけ気に入ったのは、“わたくしたちは、子どもやおとなにこびた絵本ではなく、子どもの心もおとなの心もうばいさるような、堂々とした、美しさにあふれた絵本を、愛情と責任をもって、子どもにあたえましょう”という文章です。すごい言葉だと思います。魂を込めて物事にとりくむ姿勢をもっている人間の言葉だと思いました。こういう思いでつくられた絵本こそ、私は子ども達の手に届けてゆきたいと思っています。是非、子育てにおいての絵本はそういう絵本を愛情と責任をもって揃えてあげて下さい。

絵本は私の“趣味”でもあるので、色んな楽しみ方のできる、色んなアーティストの絵本をご紹介していますが、それはあくまでプラスアルファーとしてなので、まずは、基本図書からご家庭の本棚において頂ければと思います。ほるぷ絵本館の積み木がかざってある出窓の下の棚のところに並べている絵本です。

山下先生の言葉を借りれば「選び抜かれた言葉と作家が懇親の力を込めて描いた絵」、松居直さんの言葉を借りれば「作家が子ども達の感性の育ちに全責任を持って描いている絵本」
質の高い絵本には、すぐれた文学がもっているあらゆる要素があります。だからこそ絵本だけで終わらず、読書へと文学の扉が開くのです。心のずっと深いところから湧きおこってくる感動。その感動は、血肉となり骨となり、子ども達の豊かな感性、深い精神性を育んでゆきます。文学性の高い絵本にはその力があります。

若い時は他にもこういう場はあると思っていたのですが、親子二代で同じことを追求してゆくと、こんな親子(山下先生と私(笑))でもそれなりに極められるようで、ほるぷ絵本館ように読書へとつながる絵本選びを追求しているところはそんなにはないようです。アトリエで出会ったお父さん、お母さん達には出来る限りお伝えしてゆきたいと思っているので、絵本のことは是非、頼ってくださいね。子ども達と共に文学の扉を開いてゆきましょう。

2018年3月①アトリエ講師 星野由香