先日の和久洋三講演会では、お忙しい中、多数の方にお越し頂き、ありがとうございました。
和久先生の講演会をこれまで何十回も聞いてきていますが、毎回、新しい気付きがあります。今回の講演会で、非常に多かった感想は、「子育ての答えが見つかった。」「ずっと悩んでいたことに、次々と答えがでた。」「どうして、子どもがそうなるのか、納得できた。」というものでした。
私自身が、感銘を受けたのは、「子どもが自己肯定感を感じるのは、親に愛された時、そのままの自分を受け入れられた時」という言葉です。
私の言葉になってしまいますが、まとめると、“子どもは、自分が受け入れられ、自己肯定感を持ったら安心して自分の好きなことに集中することができる。おのずと積極的になってゆく。この安心して集中できるという環境が大切。自分が受け入れられていない環境では、安心して集中できないし、前向きにもなれない。やりたくてやっていないことじゃないと、伸びない。やりたいことをやる為には、やらなくてはならないこともでてくる。でも、この「やりたい!やらずにはいられない。」ことがあれば、それを乗り越えられる。知る喜びを知ってゆく。集中して何かを生み出す喜びを知れば、それを求めずにはいられなくなる。子どもが、何にのめりこんでいるか、何をやりたいのか、を見てあげることが必要。それを見つけ出せる環境は、用意してあげなければならない。アトリエがいいのは、皆違って、当たり前、皆違って皆いい、ところ。一人ひとりの子ども達を受け入れているところ。”
つまり、はじめのスタートは、そのままの子どもの姿を受け入れるところからはじまるのだと思いました。
講演の冒頭で、動物のあかちゃんが、皆、教えられなくてもそもそもどうすれば、育つことができるのか、生き残ってゆく力を身につけてゆけるのかを知っているように、人間にもその力が必ずあるという言葉がありました。
椋鳩十さんの著作でかもの話があるんですが、かもの雛は、危険を感じてお母さんが鳴くとお母さんの胸元の毛を銜えます。お母さんは雛をぶらさげたまま飛び立ち、安心できる水面を見つけると、また、鳴いてしらせます。すると、子ども達は、くちばしを離し、水面に飛び込んでゆきます。誰も教えてなくても、雛は、自然とそんな力を身につけて生まれてきます。
全ての生命にその力があります。子ども達にもその力が必ずある。どの子も自分が生きる為に、その力を伸ばそうとする力をもともと持っている。その力こそ、好きなこと、やりたいこと、興味をもったことなのだと思います。才能をみつけるという事ではなくて、その子の好きの力、“好きの力”を強くもてることこそが、生きる力を生み出してゆくのだと思いました。
その力を信じるかどうかで、子育ては随分違ったものになってゆきます。大人や社会の価値観を押し付けることで、どれだけ子どもの力を押しつぶしているのだろうと思わずには、いられませんでした。
ゲゲゲの女房でおなじみの水木しげるさんの言葉に「子どもの頃は、誰もが好きなことに没頭して生きてきたはずだ。人間は好きなこと、すなわち“しないではいられないこと”をする為に生まれてきたんです。」という名言があります。
私達の子ども時代はそうでした。でも果たして今の子ども達に“好きなことに没頭する時間”があるのだろうか、そもそも、ゲーム以外に没頭できるくらい好きなことが、見つけられる環境にあるのだろうかと、考えたりもしました。その環境を用意してあげるのは、大人の役割です。
和久洋三の積み木には、思考の軸が詰まっています。何一つ、意味なく創られているものは、ありません。白木の積み木では、世界一と言っていいと思います。他の積み木との決定的な違いは、素材はもちろんですが、着尺と関係性です。
また、積み木だけが存在するのではなく、点、線、面とのつながりがあります。子ども達が、常に手にするもの、目に触れるものは、本物であって欲しいですね。是非、日常こそ、豊かな童具環境を整えてあげて下さい。積み木のいろはは、高額に感じるかもしれませんが、子ども達の思考の中に一生の財産をつくってくれます。
私は、和久洋三の童具、山下先生から教えられた絵本をとおして、本物を選ぶ目を養われてきたことをこの頃、よく感じます。本物を深く知ることで、他の物を見ても、そこに哲学があるのかどうか、その哲学がどんなものなのかを考える時の思考の軸のようなものができたのだと思います。
幼い頃から、本物を毎日、目にしているだけでも、子ども達に育ってゆくものは、違ってくるでしょう。
世界一と呼べる本物を見て日常を暮らしていくことだけでも、“積み木のいろは”の会員価格¥129,276は、決して高くないと感じます。お子さんに必要な主力の童具、積み木のいろは、くむくむ、クムンダ、かずの木、全て揃えたとしても¥385,776。絵本のセットを全部買ったって¥700.000くらいですよね。
その金額は高いけど、それで、子どもの一生の財産ができると思えば、その先に続くその家の文化、繁栄を思えば、それさえ高くない買い物ではないかと思います。
12月1日(火)に、10時半より“積み木のいろは”説明会をおこないますので、積み木のことを知りたい方、遊び方が知りたい方は、是非、お申込み下さい。定員、10名です。
※駐車場は、大変、危険です。お子さんだけで駐車場に出ることのないよう、皆で徹底してゆきましょう。
※事故防止のため、混雑時は、第二駐車場をご利用下さいますよう、よろしくお願いします。
2015.11.(1)アトリエ講師 星野 由香