前回の「お家のコラージュ」は、四角をテーマに多才、スギヤマカナヨさんの絵本、「ぼくのまちをつくろう」を読んでから、絵本にでてくる地図と同じ道路を用意してはじめました。
アトリエでこういう感じのことをすることがあまりないこともあり、どのクラスもノリノリで楽しみ、この作品で一冊の絵本ができてしまいそうな大画面に仕上がりました。
実際に夏休みにこんな感じの絵本をつくってみてもおもしろいですね。

子ども達は、本当にどの子も見立遊びが大好きです。フレーベルによると、子どもの遊びには、3つの形式があるとされています。(遊びの創造共育法(1)P88参照)

一つ目は、今回のような見立遊び、おままごとやごっこ遊びもこの遊びに入ります。

二つ目は、パターン遊び、子どもは、モザイクなどを渡されると何をつくるでもなく、模様をつくって楽しんだりします。それは自然と美のバランスをとり、シンメトリーになっていたり、色彩を構成したりしています。

三つ目は、認識探求活動。図形パズルや数量、幾何、科学の法則に基づいた遊びです。

この中で唯一、大人が教えられるのが、3つ目の認識探求活動です。習い事にこういうことが多いのも大人が教えられるからなのだろうと思います。

見立遊びや、パターン遊びは、子どもが自ら求め自分から自然とやり始める遊びであり(自然にまかせていればいずれ認識探求活動も自ら求めるようになります。)

その遊び方は、子どもによって一人ひとり違い、また、大人よりはるかに子ども達のほうが発想力があるから、大人には教えることができません。また、点数がつけられない世界でもあります。

前回の親子コピカでも驚くほど、一人ひとりの遊び方が違いました。私がはじめにケルンモザイクで何種類かのお家をつくってみせたのですが、その通りにする子は、全くと言っていいほどいません。

どんどんつなげて不思議なおうちをつくる子、電車になる子、立体にしてつくる子、全てを積み上げる子、本当に色々でした。それが3歳くらいまでの自然な姿なのだと思います。ただ、全てのモザイクをつかう、また、全部をつなげて遊ぶというのは殆どの子に見られた共通点でした。子どもは仲間はずれにしません。全部つなげて遊びます。

だからこそ、子どもの童具に基尺があること、数量、幾何の法則があることの必要性をあらためて感じました。アトリエは、先生のやったことをただまねをする場ではなく、自分で考え、自分で表現する場です。

また、アトリエの活動には、形のテーマがあり、形の秩序がありますから、子ども達が自由な発想で行なったとしても、自然と形態の特徴が直感できます。

自ら、見立遊びやパターン遊びを楽しみ、自分で考え、自分で表現する習慣のある子は、時期がくれば教えなくても自然と認識探求の遊びも楽しむようになります。

これまでの遊びの中で簡単な数量的法則や幾何の秩序はつかみとっていますから、本物の知識となり応用力も身につきます。

幼い時から知識を詰め込んだり、教えられたとおりのことを繰り返したり、まねして訓練したりの教育に問題があるとすれば、自分で考え、自分で表現するというアウトプットの世界が抜け落ちてしまうからなのだと思います。

大学入試が知識偏重型から、知識活用型に変革するのも、それを危惧してのことかもしれません。

このアトリエは、美的創造活動と知的創造活動を融合して、考えるのが好きな子、表現するのが好きな子を育てる為に生まれました。

色んな子が居て当たり前、皆違ってみんないい、子どもは一人ひとり違うのが本等です。ひっこみじあんな子に大きな声で人前で話せと言ってもそれは苦痛でしかありません。

それが出来るようになることが自分の考えを表現するということではありませんよね。たくさんの大人の思い違いが子ども達を苦しめていると思うことがあります。

これからもアトリエは、「あなたはあなたのままでいい。」と子ども達に伝え続けてゆきたいです。

2015.6.(3)アトリエ講師 星野 由香