先週の活動は、シンプルなレールに、はじめはママボール、そしてカラーボール、それから発泡スチロール球と順番に転がしてゆき、素材を変えて、その変化を直観しました。
素材には、大きく分けると3つの特性があります。
ひとつはママボールのように海綿状の素材、そして中が空洞になっているピンポン玉のような素材、3つ目は木球・鉄球などの固形状の素材です。
内部組成の違いによる、質感や動きの変化、音の変化などを知ることで、形状は同じでも同じものと違うものとの比較により、子どもは物事の認識を深めてゆきます(遊びの創造共育法(1)P142)。

あらゆる形体の中で、一番単純な形である“球”は他の特性に惑わされることなく、その違いを子ども達に最も伝えやすい形体であり、身近にあるもので色々な素材をそろえやすい形でもあるので、是非、子ども側に色々なボールを用意してあげて下さい(テニスボール、ビーチボール、ピンポン玉、ビー玉…)童具では、海綿状のベビーボール(¥500)、ママボール(3個¥700)、カラーボール(\8,200)、木球(6色セット¥3,200)があります。
前回の活動は、発泡スチロール球にはんだごてで模様をつくり、リキテックスで色を塗って、球のオブジェを作りました。創造共育法(1)のP119の活動分類を見て頂くと、この活動は“球でつくる”“球に描く”にあたります。他にも“球で描く”“球の分割”“球をつくる”など、球ひとつとっても様々な活動が楽しめます。そして、色々な素材や、制作方法の組み合わせで無数の可能性が生まれます。
また、同じ活動であっても、年齢により、その質も違ってきます。
先日、取材に来ていた方が、親子・幼児・小学生のそれぞれの活動をご覧になって、「年齢によって同じことをしてもこれ程違う」ということに、驚かれていました。
特に、一回目の積木のレール作りでの小学生クラスは、少しコツを教えると、自分たちで創意工夫を重ね、おもしろいコースをどんどん作ってゆきました。こういう時は、いかにおうちで積木で遊んできたかがものを言います。
ボールが止まる曲り角に直角二等辺三角柱を入れて転がるようにしたり、分岐を作るために半円球を使ったりと、早い段階で色々な気づきがありました。
ひとつの球という存在が、これだけ人間を楽しませてくれる、単純な形体である球にも、これだけの可能性がある、そのことを体験により身につけていった子は、自分自身にも無数の可能性があることを知ってゆくでしょう。
前々回のアトリエ通信で、“創造共育法(2)P97をお読み下さい”と書いてあることで、その部分を熟読し、赤ちゃん童具(紐付きベビーボールやママボール、さくらんぼ、たまゆら、ちゃこ など)がいかに赤ちゃんの成長にとって大切なものであるのかを知り、さっそく買いに来て下さったお母さんがいました。赤ちゃん童具には他にもケルンボール、カラーボール、じゃん、たんく など、特に3歳までに必要な球体、円柱の童具がたくさんあります。その全てはもちろん大きくなっても使うことができます。
今回のテキスト表示は、アトリエ活動の骨子となる部分を紹介していますので、是非、読んで下さい。
今週は、円形に切ったベニヤ板に粘土でコースを作って、色を塗り、遊びの童具として、また、レリーフとしても飾って頂ける作品を作ります。是非、楽しみにお待ち下さい。
2011.4.(3) アトリエ講師 星野 由香