今回の古時計はずっと以前に骨董屋さんで買っていたのですが、幼児のモチーフとしては難しいのではと思い、小学生にしか使っていませんでした。
この度、やってみてびっくり。嘘でしょう?というような作品が次々に生まれ、子ども達の表現力の豊かさにまた驚かされました。
時計と同じ色を全く塗らない幼児クラスがあったのですが、それでもどことなく古時計の雰囲気が出ていて、どうしてこんな表現ができてしまうのか子ども達の感性にはただただ感服するばかりです。

夏の絵画は特に子ども達の成長の転換期になるのか、夏に絵が変わる子がとても多く、今回の絵画でお子さんの飛躍的な成長を感じた方は多いのではないでしょうか?
下の教室は広いので、イーゼルを立てる時は、出来る限り自分の絵に集中できるように他の子の絵があまり見えないように向かい合わせに設置します。
しかし、ピカソの教室は狭いので殆ど横並べになり、この度は、6年生と2年生、5年生と1年生というように隣になる子の学年が離れているパターンが多くなりました。
私は、絵の指導は殆どしませんが、5・6年生になると微妙なアドバイスを求めてきます。例えば濃淡を出すのに、色の明度で表せばいいのか、彩度であらわすのか(言い方は違いますが、そういう意味のことを言っています)、それとも水で薄めてみるのか?
そういう質問自体が3年生までの子ども達には刺激になるようで、皆画面に向かいながら私と高学年とのやり取りをじっと聞いていました。
そうして出来上がった絵を見てみると、年下の子の絵がとなりの年上の子と絵のニュアンスが似ているんです。ほほえましいくらいに。
これは決してまねではなく、まねをしているという意識もなく、ピカソの絵に影響されて、新しい絵の世界観を見つけ、自分でも想像もしていなかったような作品が生まれたのだと思います。また、年下の子が隣にいることで、負けられないと思うのか、高学年の子も、気合が違いました。
こういうことも一つの学びであったり、感性の高まりであったりするんだなあと、子ども達の姿に教えられました。
夏休みは、子ども達に一生忘れられない思い出を作ってあげられるチャンスです。
私たちがそうであるように、子ども時代の深い感動は、人生のあらゆる場面で心を支えてくれます。いつか子ども達が大人になった時、この一日があるかないかで、自分の人生観が大きく変わったと言えるくらいの思い出を子ども達の心に残してあげたいと思います
アトリエも通常クラスは、末の週まで2週間のお休みです。くれぐれも体調・事故には気をつけて、お父さん・お母さんも、子ども達と一緒に忘れられない夏をすごして下さい。
2011.8.(2) アトリエ講師 星野 由香